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ファシアとハイドロ その①

『fascia(ファシア)』とは

筋膜とはなんでしょう?一般には筋肉を包む白っぽい半透明な膜のことを思いうかべると思います。fascia(ファシア)を筋膜と訳しているため誤解されやすいですが、筋肉を包む膜(厳密には筋外膜)だけを意味するのではありません。

現在の世界的なコンセンサスとしては「fasciaは全身に連なる解剖学的にも生理学的にも重要なネットワーク構造および機能を持つ臓器(organ)であり、さらには器官系 (system)である」と認識されています。

つまりfascia(ファシア)とは、筋膜(myofascia)に加えて、腱や靭帯や神経線維を構成する結合組織、脂肪や胸膜や心膜など、明らかに骨格筋と無関係な部位の結合組織を含む概念」と理解されています、

代表的な組織としては、筋外膜、関節包、骨膜、支帯、神経上膜、硬膜などと、それら周囲の疎性結合組織となります。つまり『fascia(ファシア)』≧『筋膜』という感じですね。

一方、システム系としての fascia (the fascial system)の定義は、「力や感覚といった情報、あるいは、さまざまな物質などを伝えるための巨大な伝達網(ネットワークシステム)としての機能を有するもの」である。

組織成分の種類と密度はシームレス(境界がハッキリとしない様)に移行していきます。つまり、すべての組織は下記の図のように連続しています。

また、その密度と線維配列から整理されます。例えば、高密度で規則性が高い⇒靭帯や腱、低密度で比較的不規則⇒浅筋膜や固有筋膜。

つまり、細かいところでは筋肉や神経を、大きなところでは体全体を包む結合組織ということで、それぞれの場所に適正に位置するように互いに支い、かつ体の動きに対して適度に滑走することでその動きを許容し、立体的なバランスも保っています。

fascia(ファシア)自身はコラーゲンやエラスチンという線維性の組織と水分などでできています。皮下組織から深部の組織まで存在する、白っぽい薄い膜様組織です。クモの巣や網のようなものが、何層も重なって体全体に広がっている感じといえると思います。雨が降った後の蜘蛛の巣をイメージしてもらったらいいと思います。

【イメージ】上:水滴のついた蜂の巣。下:何層にも張り巡らされたfasciaのイメージ。

そしてfascia(ファシア)はすべるものという認識はとても大切です。たとえば、筋膜間が滑走することで筋肉の収縮がスムーズに行うことができるし、筋膜間にある神経組織は損傷されないともいえます。

続く。

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