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キズ・ヤケドの『湿潤療法(うるおい療法)』②

湿潤療法のメリット

①治りが早い      

湿潤療法にて人間の細胞(もともと存在する細胞やキズを治そうとする細胞)を守り、自分自身の治癒力をより発揮してもらうため、より早く治ります。      

②痛みが少ない   

消毒薬は人間の細胞を障害するため、ピリピリした痛みが生じてしまいます。また、キズが乾燥することによっても痛みが生じます。さらにガーゼを直接キズ表面に当てていると、乾燥するだけでなく、はがすときに痛みが生じ、新しい皮膚ごとはがれてしまいます。          

③化膿しにくい   

カサブタをめくってみると、化膿して膿がたまっていることがあります。湿潤療法をしているとその可能性(感染率)は低くなります。      

※しかし、湿潤療法は従来の方法より優れているのはいうまでもありませんが、逆に万能というわけではありません。(魔法の治療法というわけではありません。)  特に広範囲の熱傷に対する治療では従来の方法では発熱(しばしば高熱)を伴うことが多いですが、湿潤療法でも同様に発熱を伴うこともあります。熱傷による発熱に対しては短期間(1~2日程度)の抗生剤の点滴、もしくは内服薬にて対応することで、速やかに解熱することがほとんどです。

湿潤療法のポイント

☆キズ口を消毒しない
☆キズ口をきれいに洗う
(できるだけ異物を除去する)
☆キズ口を乾かさない
(被覆材を使用する)
☆カサブタは感染源になるため作らない
(湿潤環境を維持する)

当院で使用している被覆材

2010年頃に湿潤療法で有名な夏井睦先生の外来(当時は茨城県の石岡第一病院)見学をして以来、湿潤療法「なつい式湿潤療法®」に取り組んでいます。

※2018年12月14日に「なつい式湿潤療法®」が商標登録されました(商標第6106433号)。

当初から、主に下記3種類の被覆材を中心に治療しています。

ただし、創の状況によっては死んだ組織を切除(デブリードマン)したり、プラスチベース・白色ワセリンといった軟膏類も使用したり、皮下にたまった血腫や膿を排液するためにドレーンチューブを使用したりします。

それぞれに特徴があるので、状態に応じて使い分けていきます。

【図】「なつい式湿潤療法」開始当初に使用していた被覆剤

当院での治療フローチャート

擦過創(すりむきキズ)、熱傷(ヤケド)、低温熱傷など、創傷の種類に応じて下記のように被覆材を選択するかたちになります。

薬局で買える創傷被覆材

①プラスモイスト
調剤薬局で処方箋なしで購入できます。(一般薬局では購入できませんが、ネットショッピングで購入できます。)当院でも使用しています。

②キズパワーパッド
バンドエイドのメーカーのものです。通常のバンドエイドよりやや高価ですが、上記のデュオアクティブET(ハイドロコロイド)と同じ成分です。これが市販されたときは、革命的でした。今では、違うメーカーのものも多数販売されています。

③ハイドロコロイド包帯アドバンス
創面に当たる柔らかな素材が滲出液を吸収し、創面にも固着しないようです。製品は10㎝✕40㎝の大きさです。キズの形にあわせて切って使います。厚みも薄めで装着感がいいので、最近は当院での治療にも利用しています。

④ヘモスタパッド
出血を止める成分(アルギン酸カルシウム)が含まれています。

参考 ⇒ http://www.wound-treatment.jp(新しい創傷治療)

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