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動注治療とは

※この治療はオクノクリニックの奥野先生によって2014年に開発されたものです。当院はその知的財産権を持つ医療法人社団祐優会 Okuno Clinic.とのライセンス契約を結び動注治療を行なっております。
リンク:https://okuno-y-clinic.com/

手指の第1関節(D I P関節)や第2関節(P I P関節)や親指の付け根(C M関節)が慢性的に痛いという方は多くいらっしゃると思います。
これらはヘバーデン結節・ブシャール結節・母指C M関節症といった、年齢に伴う関節の変化による変形性関節症の一つです。治療は保存的なものとしてはテーピングによる負担の軽減と局所安静、外用薬の処方や少量のステロイド注射などがあります。
これらの疾患は中高年の女性に起ることが多く、原因は使い痛みであったり、女性ホルモンの関係であったりだといわれていますが、根本的な原因はわかっていません。

また、市販薬のエクオールを使用されている方も多いかと思います。 ※エクオールとはエストロゲン(女性ホルモン)に類似した構造を持ち、エストロゲン受容体に結合することにより、エストロゲン様作用を示すと言われている物質です。大豆イソフラボン(ポリフェノールの一種)はダイゼイン、グリンシテイン、ゲニステインに大別され、そのうちのダイゼインが腸内細菌によって代謝されてエクオールとなり、体内に吸収される物質です。ちなみに大豆を摂取しても、全員がエクオールとして吸収できるわけではなく、日本人で2人に1人程度しかエクオールまで代謝できません。ヘバーデン結節にエクオールが有効という報告はありますが、なかなか痛みがとれない方も多数おられます。

上腕骨外側上顆炎や肩関節周囲炎などの上肢の症状、足底腱膜炎やアキレス腱炎などの下肢の症状がなぜ治りにくいかというと、モヤモヤ血管という異常な血管が増えてしまい、かつ血管とともに神経も増えてしまい、それらがいつまでも残り、痛みの原因になっているためです。
関節リウマチの人でもやもや血管が見られるケースも少なくありません。
特に40歳を過ぎたころからモヤモヤ血管ができやすいことがわかっています。また若い方でもスポーツや仕事で繰り返し負担がかかっている部位には、このモヤモヤ血管ができやすいです。モヤモヤ血管と神経は一度できてしまうと簡単には減りません。

しかし、痛みが出るメカニズムとしては、関節の周りの細い血管(モヤモヤ血管)が増生しているために起る炎症といわれています。このモヤモヤ血管に対して直接アプローチすることで、症状の改善が可能な治療方法が動注治療です。この治療は正味10分ほどで終わる簡単な処置です。

ヘバーデン結節を例に挙げると、手首の橈骨動脈(とうこつどうみゃく)という、いわゆる「脈を触れる」ときの手首の部位に局所麻酔をします。数分して麻酔が効いたところで、点滴の際に使うサーフローという細いチューブを動脈の中に挿入し、そこからチエナムという抗生剤を流すだけです。つまり、静脈注射をほとんど同じことをするわけです。

【図】ヘバーデン結節で痛みが出やすい部位。変形もあります。
提供元:オクノクリニック 奥野 祐次医師

【図】橈骨動脈からの穿刺(この図では、順行性に穿刺)
提供元:オクノクリニック 奥野 祐次医師

投与された薬剤は動脈の流れにのって、指先や指の付け根などの患部に到達します。そこで余計に増えてしまった「モヤモヤ血管」に作用して、退治してくれます。

【イラスト】赤矢印は血流の流れ。右手の血管の分枝への血流があることに注目。これをモヤモヤ血管にみたてています。

【イラスト】逆行性に薬剤。薬剤の流れを黄矢印にしています。

【イラスト】分枝にチエナム粒子が詰まった状態。

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