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血管新生と「モヤモヤ血管」

本来、毛細血管には「血管新生」という機能があります。これは、既存の血管から新たな血管枝が分岐して血管網を構築する生理反応です。ざっくりいうと、血流が悪くなった箇所にある細胞が酸素や栄養素を必要とすると、毛細血管が枝分かれして伸びていく働きです。

このように言ってしまうと、プラス面しかないように思えるかもしれません。例えば、創傷治癒の過程では血管新生が生じることが知られており、重要な役割を果たしています。

しかし慢性炎症や繰り返される損傷、さらには悪性腫瘍の進展においては、マイナス面といえる側面も生じてきます。

人間の身体は「血管と神経が一緒になって伸びる」という基本ルールがあります。つまり血管が増えているところには、神経も一緒になって増えていて、この余計に増えた神経の侵害受容器から痛みの信号が脳に送られます。さらに慢性炎症や繰り返される損傷が生じている現場では、痛みの信号が繰り返して送られると同時にその過敏性も上がり、周囲の血管も常時拡張することになり、さらに伴走する神経の過敏性が上がります。さらに痛みを引き起こす過剰な神経を誘導し炎症を助長するため、ステロイド注射などでは完全に消す事は出来ません。悪いスパイラルが形成されてしまい、痛みも慢性化してしまいます。 このスパイラルにより新生されてきた血管は「モヤモヤ血管」とよばれます。モヤモヤ血管の特徴は脆弱で未熟であり、通常の毛細血管に比べて形態も機能も大きく異なります

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