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ファシアとハイドロ その⑤

fasciaで考察する血管周囲のリリース

血管周囲のfascia異常は上述したように、交感神経を介する痛みの人力になると考えられますが、さらに、平滑筋の収縮により末梢血流も低下させています。長引く捕みやしびれ、冷えなどは、交感神経の異常が関与している場合が多いです。

血管周囲のリリースは、血管外膜との連続性のある、あるいは血管近傍にある異常なfasciaをリリースすることにより,この血管周囲にある交感神経や末梢神経への異常入力を改善するものと思われます。

治療点は、アンギオソーム(angiosome)の概念を参考にします。具体例としては、頭頸部帯状疱疹に対しての内頸動脈周囲のfasciaリリース(胸鎖乳突筋裏のfascia)や、乳癌術後あるいはペースメーカー植え込み術後の頑固な前胸部痛に対する腋窩動脈周囲のfasciaリリース(腋窩動脈周囲のfascia )などがあげられます。また、血管の圧迫などによる症状と理解されている病気(胸郭出口症候群など)に対しては、圧排部位の血管周囲をリリースすることで改善が期待できます。

参考図書
参考図書

エコーガイド下fasciaハイドロリリース(筋膜リリース)には、解像度のいい超音波が必要です。 当院ではコニカミノルタのHS-1を使用しています。針先を強調させる機能により、より正確に針先をガイドすることができます。

当院では生理食塩水でなく、より体内の水分と同じ電解質濃度になるように作られた細胞外液をfascia hydroreleaseに使用しています。重炭酸リンゲル液といわれるもので、これはPH(酸性度)の関係で、生理食塩水よりも注射の際の痛みが少ないという点が特徴です。

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